口パク禁止令

事の起こりは、北京オリンピックの開会式で歌った女の子が口パクだったと発覚した事かららしいけど、中国当局は口パク禁止令を出してます。どうやら大真面目らしい。

(前略)
口パク問題が取りざたされたのは北京五輪でのこと。開幕式に登場した少女・林妙可(リィン・ミャオコー)ちゃんが美しい歌声を披露したが、後に別人の吹き替えだったことが判明した。2009年には「営業的演出管理条例実施細目」が公布され、「口パク、カラオケ演奏などで観客を騙す行為」が明確に禁止された。
(後略)

口パク、カラオケ演奏は観客を騙す行為なんだそうだ。

でも演出や効果を考えると必ずしも悪いものではないでしょう。古くは、ビートルズみたいに、録音した生演奏で口パク(マイミングといいます)するワザがあるけど、本番でのPAトラブル回避やクオリティを確保するにはいい方法。

激しい振り付けで、演奏の不安定さが予想される場合は、その部分の音を用意しておくという事は良くあることだそうで。ソレをダメと言われると、マイケルジャクソンやマドンナとかもダメらしいからね。

もしくは、カラオケ演奏がダメといいますが、では10ccが"I'm Not In Love"を演奏する時のコーラスは、実際に演奏していると思ったらテープだった!騙された!というようなモノなのかしら?山下達郎のクリスマス・イヴのコーラスもそうだ*1

「ライブ」たるもの、すべてが生演奏でなければ「騙し」なのか。これは考え方にもよりますが、私などははっきりと「サウンド効果最優先」なので、生演奏でなくても構わないという要素を多く認めているよ。少なくとも上記のコーラスなどは、必要なサウンドを適切に提供している。

そもそも、テクノ、という時代を我々は既に通り過ぎてきているので、いまさらライブでは全部ナマ音じゃなきゃダメ、というのは、なんだか悪い冗談に聞こえる。昔の「だってシンセサイザー使ってるからズルじゃん」みたいな言いがかり感(笑)。

まあそれは極端としても、全部ナマじゃなきゃイカン、というのは、そのようなフォーマットで演奏されることが前提となっている音楽(典型的には、20世紀初頭までの西洋音楽やマイルズ以前のジャズとか、もしくはそのことに価値を見出している音楽)限定ではないのかな。

という訳で、簡単に口パクとかカラオケとか言ってるけど、現在の音楽では巧妙かつクリエイティブに取り入れられている事が多いんじゃないですか、という話。


もっとも、さすがにそれはちょっと、というケースもありますね。クリエイティブさのカケラもないような使い方。ある歌手が一曲まるまるボーカル差し替えでしたとか。

たとえば、これ。先日、TVで紹介されていた映像。アイドルのコンサート風景ですが、朗々と歌ってるけど、マイクの向きが逆ですよー(笑)。

いったいどうしたら、こんな事が起こるのか(笑)。実はマイクというモノを使ったことがなかったとか?!

*1:私は、一度トラブルでコーラスなしのクリスマス・イヴを体験したことがあるよ。