スワンプロックなんて言葉を久々に思い出し

レオン・ラッセルのライブに行ってきました。東京ではオーチャードホールで11月21日と24日にあって、日程的に24日を選んだわけですが、会場に着いてチラシに目を通した途端に、21日はアコースティック、24日はエレクトリック、という具合に趣旨が違ったことに気づき。ああ、しまった、これなら21日も来れば良かったよなどと思いつつ、エレクトリックな演奏曲を予想して、まあこちらの方が良かったかな?などと考え直したり。

レオン・ラッセルといえば、バングラデシュ難民救済コンサートの映画を思い起こす人も多いと思いますが、私が聴き始めたきっかけはカーペンターズでした。"A Song For You"や"This Masquerade"が大好きでオリジナルも聴いてみようと思ったんですね。で、聴いてみたらカッコよくてビックリ。10代の後半はブルーズをはじめカントリーやブルーグラスなど泥臭めな音楽が好きだったんですが*1レオン・ラッセルもその原因のひとつでした。まあブルーズというのとはちょっと違うかも知れませんが、南部的といわれるようなあのサウンドです。

でも私にとっては昔の人で、大人になってからライブで聴くことが出来るなんて思ってなかったんですね。全然活動も伝わって来なかったし。そんな中、1992年に仕事の研修でシカゴ郊外に半月ほど滞在した時、地元紙の公演情報欄にレオンのライブ情報を見つけた時はかなり動揺しました。まだやってたんだー、これはチャンス!まあ、この時はいろいろあってあきらめたんですけど、それでももう2度とライブを見る機会はないなあと思ったものです*2

さて、あれから13年、幸運にも本物にお目にかかれる日がやってきたというわけです。オープニングは"Delta Lady"、さすがにちょっとカラダが震えましたよ。その後、間髪入れずに1時間強ほどノンストップで黙々と例の泥臭いサウンドを演奏しまくった訳ですが、あのレオンラッセルもいまやMIDIをバリバリと使いこなし、一人で何役もの音を出し、かつ歌うという、現代的とんでもないプレイヤーと化しておりました。

いや、元々とんでもないプレーヤーではありましたが、こんな方向性もありだったかと驚き。しかしあれどうやって音をコントロールしたんだろう?基本はデジピにMIDI音源接続のようでしたが、物理的に鍵盤が2台ないと出来ないだろうと思われる場面が所々にありました*3。ひょっとしたら2段重ね立ったかもしれないけれど、如何せん席が遠く、視角的にはなんとなく手元が見えたんですが、はっきりと確認できなかったのが残念。スタンド部分はすべて布で覆われていたので、さらにわからず。

それはさておき、レオンが一人何役もこなしている他は、ドラム、ベース、ギター、コーラスが各1名のシンプルなバンドなんですが、これが強烈なグルーヴを作り出しておりましたよ。ギターなんてレスポールのアンプ直結ですよ。ボトルネックを多用したいかにもソレ系のギターで大熱演しておりました。ををー、これがギターってもんだよと10代の頃の私なら大いに主張したでありましょう。

しかしなんと言っても、やはり一番スゴイのは主役のレオンでした。ボーカルは衰えず、いやあんな声ですからさらに渋みを増してとでも言いましょうか、もう60超えてるはずですが、サー・ポール以上に素晴らしい。シンセの音色で時にチャラチャラとした感じの部分もありましたが、やはりピアノもうまい。このオヤジ相変わらずスゲー。

とにかくバンド一丸となって、ストーンズレイ・チャールズボブ・ディランなどのカバー曲もたくさん取り入れつつノンストップで泥臭めのサウンドをガンガンぶつけてくる訳ですよ。つうか、なんでオーチャードホールなんだ?*4別にハコに文句はないけれど、なんかとってもミスマッチな気分で楽しんでおりました。

1時間ちょっとしたところで、やっとMCが入ってメンバー紹介。その後レオンのソロで"That Lucky Old Sun"が始まり、こんな場面でカバーですかと思ったらそのまま"A Song For You"にカットイン。さすがに盛り上がりましたが、かなりフェイクがきついというか、アレンジが変わっていて、油断していると違う曲のような気分になるという。これは他の昔の有名曲でも同じような感じでした。そんなこともあって、今日のお客さんにはほとんどカバー曲しか分からなかったという人も居たんじゃないかなあ?アンコールはなんと「火の玉ロック」というおちゃめぶりでした。

しかし終わって振り返ってみると、有名曲はむしろアコースティック・セットの方が多かったかもしれないなあ?会場で購入したシンプルな構成のセルフカバーCDを聴きつつそんな気分です。

ソング・フォー・ユー~グレイテスト・セルフ・カヴァーズ&モア!!

ソング・フォー・ユー~グレイテスト・セルフ・カヴァーズ&モア!!

*1:時代のせいもあってか、と書こうとしたところで、同じ頃他の若者たちはLA方面のおしゃれなサウンドが好きだったなあ、とふと思い出し(笑)

*2:実はその直後に来日してクアトロでライブやったりしてたらしんですが(笑)、私は知りませんでした。

*3:右手部分でピアノとシンセで違う音が鳴っているようなところが何箇所か。左手は基本的にピアノ低音部のみの音色だったようですが、時々右手の方に伸びてたりして、これは2段?とか思ったり

*4:たとえば新宿ロフトあたりだとしっくるくるかと。いや、今の新宿ロフトは私が知っていたのとはもはや別の店か?!ってことで、「昔の場所にあった」新宿ロフト、ってことで。ちなみにオペラ以外でオーチャードホールに来たのは初めてか。