やさしさに包まれたなら

先日TVで「魔女の宅急便」が放送され録画して観たのですが、荒井由実の「やさしさに包まれたなら」が良い感じで使われてました。この曲が使われているのは知っていたのだけど、観たのは初めてだったので、なるほどーと感心した次第です*1

そういえば、この曲は最近SuicaのCMでも使われていました。好きな人が多いのかな。使われているのはいつも「ミスリム」のヴァージョンですね。でもこの曲は荒井由実の最初のベストアルバム「ユーミン・ブランド」*2に収録された新ヴァージョンがあって、私はずっとこちらのヴァージョンのほうが好きだったんですよ。

ユーミン・ブランド

ユーミン・ブランド

私が新ヴァージョンの方を好きなのは、まあサウンド自体が好きだからということもありますが、何よりこちらの方が歌詞の内容に合っていてよりしっくりとした世界観のある作品になっていると思うからです。いつの場合もそれがベストとは思いませんが、少なくともこの曲ではすばらしい結果になっていると。「ユーミン・ブランド」では他に「魔法の鏡」がリテイクされていますが、これはアレンジが若干違いつつも、実質的にはほぼそのままです。なので、わざわざ別アレンジを用意した「やさしさに包まれたなら」は、オリジナル・ヴァージョンとは違う(というか、足りない)何かを表現するために、作者本人が意図したからなのだろうと思っています。

とはいいながら、オリジナル・ヴァージョンも元のアレンジ・アイディアは本人から出たんじゃないかと推測しているんですけどね。ただ、どうも歌詞からすると元気が良すぎるような気がします。軽快なギターストロークを中心にしたさわやかなサウンドです。ひょっとして、サウンド・アイディアが先に出来た曲なのかもしれませんね。一方新ヴァージョンは、スリーフィンガースタイルのピアノとコーラスがもっと落ち着いた空気を作り出していて、「神様」「やさしい気持ちで目覚めた朝」とか、しっとしりしたフレーズが良く馴染んでいるように感じます。中学生の頃は「天国的」とか呼んでました。

やはり存在感としては「ミスリム」という名盤に収録されているオリジナル・ヴァージョンの方が目に付きやすいと思うのですが、これからこの曲を使う人は、新ヴァージョンの方にも目を向けてみて欲しいですね。

*1:でもオープニングの「ルージュの伝言」は、???でした。なんであの曲なんだか(笑)。

*2:ユーミン・ブランド」はその後シリーズ物としてリイシューされましたが、本来は最初に出たベスト盤だけを指すモノです。