アジア流 米食編

世の中にカレーが好きな人はたくさんいますが、では私はどうなんだろ?と思ってみると、カレー好きというよりはインド料理好きなんだろうという気がするわけですが、別の角度から見ると、ライスに汁やら餡やらをぶっかけて食べるのが好きで、これがアジアのごはんのスタンダードな食べ方だよなあ、などと思ったりします。

子供の頃、母親に「どうしておかずをご飯に乗せて食べないのだ」と注意されて違和感があった事を覚えていますが、これは日本では良くないとされていますね。成人式で杉並区からもらった社会人のエチケット小冊子*1にも「それはダメ」とありました。ほーら見たことかと成人みんも思い、母の無教養ぶりに首をすくめたものです*2

ところが仕事で中国人(北京系、台湾系、香港系など何種類もいる)や韓国人たちと接する機会が増えて、一緒にゴハンする機会を重ねるうち、ご飯の上におかずを乗せるのはどうやらアジアの常識日本の非常識だったのではあるまいか?と気づきました。にゃんと!思えば私の母は子供時代を一家そろって台湾で過ごしたのであります*3。無教養を哂われるべきは自分の方だったとは。きゃー。

考えてみれば、中華丼という食べ物も、いろんな種類のおかずをライスにかけて食べるスタイルを象徴化した日本独自のメニューではないかと*4。さらにさらによく見てみれば、西はインドのカレーから東はお隣韓国のクッパ類まで、アジアの食べ物ってみんな似たような傾向があることに気がついた訳で*5

そのような食習慣はついに日本海を渡ることができなかったのか。ひとり日本だけはライスはライス、おかずはおかず、の独立を尊ぶというスタイルが定着しているように見えます。もっとも、丼物やねこまんまおかゆなどといった例外*6もありますが、基本的にはゴハンの白さを汚すような食べ方を嫌う部分ってありませんか?実際にエチケット的にはダメという扱いではありませんか。

さらには、カレーや丼物でも、日本人は普通混ぜたりしませんよね。でもアジアでは良く混ぜるというのが基本のように見えます。中国はそうでもなさそうですけどね。韓国には日式という日本料理のジャンル*7があるそうですが、カツ丼に限らず丼物はビビンパみたいにぐちゃぐちゃに混ぜるのが普通だと。逆に日本人が丼物を食べる様子を見たらびっくりするのかも(笑)。

ときどき思うんですが、たとえばみんなでアジアご飯を食べるときなど、せっかくだから現地風に食べてみてはどうかと。味覚なんかももっとチャレンジがあっても良いかもしれない。時々そんな話をすることもあるんですが、やはり人間自分の習慣から出られない事もあります。まあ子供時代からそれで育ったんだから当たり前といえば当たり前ですが、その習慣も実はローカル*8なものでしかないというのもよくある話ですね。君が思っているほどそれは「普通」ではないかもしれない、と。私のように足元をすくわれかねない(笑)。

人は放っておくと自分の感覚そのものをどんどん「あたりまえ化」していってしまうモノなので、いつも違うモノサシとの摩擦を持っておくのも悪くないですね。となんだか訳のわからない話になった所で、しかしではお前も虫を食ってみろ*9と言われたら、あっさり引き下がることは必至です(笑)。

*1:たしか小笠原流監修でありました

*2:実にエラソウですが、まあ成人したと言ってもそんなモンです。

*3:母の母は台湾で教師をしていました。おかげで私が子供の頃は、昔の教え子から毎年台湾物産が送られてきておりました。そんな訳でカラスミがあんな高級品だとは知らなかった...笑

*4:まあ東京で言うところの「大阪焼き」とも言えましょうか。そんな食べ物は大阪にはないけど、なんとなく大阪っぽいと命名されてしまうパターン

*5:正直言うと、ミャンマーカンボジアの食べ物に関してはほとんど知りませんが

*6:ぱっと見た目、正式にはダメだけど、通俗的なレベルではアリという感じ。あとおかゆは大昔からありますが、丼物はそんなに古い頃からあったのかな?

*7:日本で言うところの「中華」とか「イタリアン」という感覚でしょう

*8:まあ狭いところでは家族内だけ、とかいうレベルから始まって

*9:世界中で、虫を蛋白源とする食習慣は決して少数派ではありません