ソバっ喰いも箸の誤り

ある日突然そばの美味さに気がついてから十余年、毎年秋口ともなると、新そばへの期待に満ち溢れるみんです。

吉祥寺のほさかという店が、私のそば屋的ホームとなっております。びっくりするほど美味いという訳ではないけれど、かなりイケます。お値段も手頃。かれこれ10年ほど通っておりますが、雰囲気も良いし*1いい店です。ひとりで行くときはお酒とつまみを1、2品にもり2枚というのが定番、大勢の時は大いに飲み食いいたします。

さてそんな私の好みは、田舎系のモノよりは細打ちのせいろ、つゆは辛口、です。イキオイ、そばをつゆにちょびっとだけつけて、サクサクとノドの奥に流し込む、という食べ方になります。よく、そのままノドに流し込む、などと言いますが、私の場合は一枚いただくうちにも噛んだり噛まなかったり半々です。

薬味は要りません、というか、私の場合はあまり噛まない&ノドの奥からのそばやつゆの香りが楽しみなので、薬味はノド越し的にも香り的にもジャマです。でも、あとでそば湯をいただく時には好んでねぎをつゆに加えます。ああ、書いててノドが鳴る(笑)。

そういえば。江戸っ子が息を引き取る時に「一度で良いからそばをつゆいっぱいにつけて喰いたかった」と漏らすって笑い話があります。江戸っ子の見栄とやせ我慢気質を表す例えとしてよく引き合いに出ますが、以前から、この話を考えたのは江戸(もしくは東京)の人間ではないのではないか?とにらんでおります。

と言うのも、実はつゆをどれだけつけるかは、つゆの辛さと好みに合わせて勝手に調節すればいいと思うのですが、辛口のつゆに全部浸してしまうと、これは明らかにしょっぱ過ぎるんじゃないですかねえ。東京のそばつゆは辛目だし、これは実際に並木藪ぐらいの辛さのつゆで食べてみれば分かる事ではないかと。どうかしら。

で、今年のそばシーズン。実はなんやかやであまりそばを食す機会がなかったのですが、いよいよ年末ということもあり、昨日はみなさんでほさかに繰り出しました。しかし飲み食いが過ぎて、ほさか歴10年余にして、初めて肝心のそばを喰わずに店から引き上げるという事態になってしまったのでした。大ショック。

*1:数年前に改装されて畳席が減りましたが