インドのこと その6 食べ物(2)

ところで、それまで私にとって一番美味しかったインド料理は、シンガポールの、とあるベジタリアンなインドレストランでのターリ*1。カレー以外にもインド風お惣菜とも言えるようなモノがいろいろあって、それまでに日本ではずいぶんインド料理屋に通ったのに、初めて口にするものも多く、まるで違う食べ物のような新鮮さにびっくり。

しかし、ついにインドでは、ついにそれを超える食事を体験!

と言ってもホントにあのシンガポールで食べたものより美味しかったのか?冷静になってみるとあまり自信がない(笑)。

だって、ソレはバラナシ駅の裏口*2前にぞんざいに張ったテントの店で供される、30円もしない*3朝定食ターリだったので。もはや食堂ですらない。しかし、食べた瞬間、喜びに打ち震えましたよ、私は。

おそらく列車の中で書いたと思われる、書きなぐりのメモそのまんまですが、こんな感じです。

丸いお盆の上に、スープ代わりのダール*4。カレー風味にお惣菜状態の、玉ねぎ、ポテト、ホウレン草、マッシュトポテト。それからチャパティ。枚数の記録がありませんが、おそらく3、4枚というところでしょう。

「いわゆるカレー」とは違う、しかしインドなのでカレーっぽくスパイシーな食べ物は、とっても美味。シンガポールで体験した美味しさがフラッシュバックするような感覚でした。

インドならではのお惣菜感覚な美味しいもの。日本のインド屋でも、こんなメニューを用意してくれないかなあ?


インドならではと言えば、バラナシからハルドワールへの移動列車の中で、夕食ターリの注文取りがやってきたので注文。19時過ぎに、食堂車でもないのにホントにターリが出てきた(笑)。

これまた車内の書きなぐりメモで激しく読みにくいけど、ステンレス製のトレーに凹凸で6つのエリアが区分けしてあり、こんなメニュー。

    • 真ん中:ライス、チャパティ4枚、揚げゆで卵inカレーカップ
    • 左:ヨーグルト
    • 上左:ジャガイモカレー
    • 上中:ダール
    • 上右:ナスカレー
    • 右:たまねぎ、塩

カレーと書いてあっても、液状なのはダールと、揚げゆで卵の入ったカップのソース代わりのカレーだけ。そりゃ車内でむき出しでデリバーしてくるので、こぼれやすいものはNGでしょう。

ジャガイモやナスのカレーは、カレーと言っても汁気のあまりない、これまたお惣菜に近いような感じと思っていただければ近いかと。ちなみに、当然のようにスプーンやフォークの配布はありません(笑)。

車内といえども、こんなターリが素のままバーンと出てくるのがインドだなあと。もうちょっとお弁当っぽく、ポータブルにまとめようとは、まったく思ってないんだろうなあ。

そうだ、シンガポールでは、むかし日本でも流行った2段構造のホットジャーにカレーとチャパティーやライスを入れたお弁当食べるインド人を時々見かけたけど。とりあえず車内デリバーされたトレーは、食後に係の人が回収して行きました。


そういえば、この列車は寝台列車で、この日、私はゆったりした2段側の上に居たのだけど、おやつ時に、お向かいの3段側の下に居たばあちゃんが、おもむろに荷物を開いて、周りの人にチャパティ/ジャガイモカレー(もちろん汁なし)/アチャール*5を盛大に振舞っておりました。

近くに居た7、8人ほどお呼ばれされてましたが、たぶん大家族などではなかったはずだけど、インドって、そういうカルチャーなんでしょうか。とりあえず、そのつもりで食べ物を用意してきたばあちゃん、スゴイ(笑)。


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*1:ターリ:一つのお盆にたくさん食べ物が乗った定食

*2:バラナシ駅の裏口:つまり、ガンジス川と反対側

*3:30円もしない:現地価格は4ルピー。当時1ルピーは7円弱

*4:ダール:豆のカレー。日本におけるみそ汁のような位置付けのスープ状のものから、粘度の高いものまである。

*5:アチャール:インドの漬物のようなものと思えば間違いない