1枚あればOK


読売新聞 12月19日(日)3時4分配信

 JR東日本JR西日本などJR各社と、首都圏、名古屋圏、関西、九州の主な私鉄などは、それぞれが発行する10種類のICカード乗車券の相互利用を始める方針を固めた。

 年内に検討会を発足させ、2013年春の相互利用開始を目指す。10種類のICカード乗車券のうち1枚を持っていれば、出張や旅先の交通機関でも利用できるようになり、利便性が飛躍的に高まる。

 ICカード乗車券は、基本的な技術仕様が共通で、発行する会社や団体が合意すれば相互利用が可能。ただ、参加する鉄道会社やバス会社ごとにシステムの改修費が必要になるため、一部の小規模経営のバス会社などが相互利用の拡大に消極的だった。だが、ICカード乗車券の普及が進み、さらに利便性向上を図るためには避けて通れないと各社が判断した。

 相互利用は現在、JR東日本を中心にJR各社間の一部で行われている。また、首都圏では、私鉄やバス会社が発行する「PASMOパスモ)」とJR東日本の「Suica(スイカ)」、関西ではJR西日本の「ICOCA(イコカ)」と私鉄などで使える「PiTaPa(ピタパ)」など、エリアごとに進んでいる。

 10種類のICカード乗車券の相互利用が実現すれば、例えば、現在は首都圏の私鉄・バスなどとJR東日本以外では使えないパスモが、北海道、東海、西日本、九州のJR各社や関西の私鉄などでも利用できるようになる。ただ、JR四国はICカード乗車券を導入しておらず、四国で検討会に参加予定の鉄道会社などはない。


「はい来た!ついに来たよ!!」

一部相互利用は出来るものの、現状では各社独自規格のままで使用されているFeliCa交通系支払いサービス。エリアが変わると使えないことも多く、このシステムが本来持つ便利さが、イマイチ活かされていない点が問題です。

Suicaユーザーの私は、大阪ではJRにそのまま使えるけど、私鉄・地下鉄・バスには使えません。PASMOユーザーのサイクンは、まったく使うことが出来ず。

それが、いよいよ全国どこでも使えるようになるとの事。実現にはまだ2年ほどかかりそうだけど、実に喜ばしいことです。


これ、Suicaなどの交通系サービスを利用してない人には分かりにくいのかもしれないけれど、少なくとも東京ではSuicaPASMOのどちらかを持っていれば、それですべての交通機関に乗ることができます。切符を買う・小銭を支払うという行為からまったく自由になり、言ってみればすべてフリーパスで乗れるような便利さがあります。

交通機関を利用するという事はそういう事」だと一度なってしまうと、旅行ならいざ知らず、日常の移動で何かに乗るたびに、料金を調べて券売機で切符を買うなどという気にとてもなれません。

いや、そうは思えないという人もあるかもですが、まあ、実際に実感すれば分かることです。人は便利に慣れてしまうものです。洗濯機や冷蔵庫のない生活、とまでは言いませんが、卑近な所でも、いまさらリモコンなしでTVやビデオ観るのは著しく面倒ではないですか?


ところで、システムを採用するメリットとして、規模の大きさが付加価値を生むスケールメリットという考え方がありますが、それが分かっていながら、どうして各社独自規格でやろうとするのか。

初めから相互利用が可能な規格にしておけば、ユーザーが享受できるメリットも大きくなり、システム全体の付加価値が大きくなり、さらに利用が進むというスパイラルがあるはずなのだけど。しかし、今のうちに手直ししないとイカンという気になれたのは良い判断かと思うです。

しかし、こういう業界内規格?を決める場合、昔だったら、通産省とかの役所が音頭を取って話を進めるのがお約束、だったように思うけど、今回はお役所の影が見えないようですが。

個人的には、日本の産業界は十分に発達し、役所主導で仕様をまとめるような時代ではなくなったと思っているので、これは好ましいケースだと受け取ってます。

いずれにしても、サービスの基盤を共有化する事になり規模が大きくなり、インフラとして定着できれば、ユーザーばかりでなく業界のメリットになることはもちろんなので、目先の損得よりも共有性の高いシステムの実現に目を向けて欲しいなあ。