実は3日前の事になるけれど、米寿&画業60周年記念ということで、お盆の時期を中心に13日間、松屋銀座で開催された「水木しげる米寿記念 ゲゲゲ展」に行って来ました。
サイクンと同伴でと思ったのだけど、うまく調整がつかず、結局最終日に一人で行くという、あまりうれしくない状況になってしまいました。が、先年の「大(Oh!)水木しげる展」にも行き損なってるので、水木ファンとしてはここは外せずと観覧強行。
「ゲゲゲの女房」人気と最終日ということで相当な混雑でしたが、どうしてもすべての原画をじっくり見たかったので、辛抱強く人の流れに合わせてジワジワと進みました。美術館や博物館で、こんな事めったにないです(笑)。こんなの日本以外では未体験ですが。
今回は原画の展示が中心と云う事でしたが、「河童の三平」「悪魔くん」「鬼太郎」の3作品と、妖怪画、というカテゴリーでした。
まずどの作品にも共通しているのは、水木作品の特徴である絵の密度の濃さが、原画だとより際立っている事。正直驚きました。キャラクターなどは、どちらかというとラフな線で描かれていることが多い事に比べ、背景の自然風景などの緻密な描きこみには圧倒されます。
個々の作品としては、それぞれ紙芝居や貸本時代から描かれていた物が、後年、どのように少年誌用に描き直されたかを、直接比較できるような展示が多かったですね。バージョン違いを楽しむ。絵柄だけでなく表現の変化があったりと、なかなか興味深いものでした。
それで気が付いたけど、この3作品では、おそらく一番好きな「河童の三平」が、実は少年誌バージョンしか読んだことがなかった。貸本版読んだら印象変わるかな?
妖怪画のコーナーでは、最初に原画がそれぞれカラーと白黒の2種類ずつあると説明されていて、実際に同じ絵が、上に白黒、下にカラー、と並べて展示されてます。
これは、コピー機の機能が向上して、昔書いた白黒原画のコピーに、後から彩色できるようになったからだそうで。
で、その両者を見比べてつくづく感心したのだけど、彩色するにあたってのアイディアが実にすばらしい。色の使い方や組み合わせ方、最初に白黒で描いた時に、すでにこんなイメージがあったのだろうか?!と思うぐらいの変化と創造性を感じさせます。これ、マジで画集が欲しくなりました。
原画以外には、水木しげる年譜と共に、昔のオリジナル単行本や昔の写真、至る所に妖怪フィギュア等が展示されてます。壁にも原画のコピーが印刷されていて、展示されている別バージョン原画のさらに別バージョンが見れる箇所もあります。ねずみ男の名言「誰が政治しとるのか」とか。
その他、水木夫妻のインタビュービデオ(これは会場外でも見れました)や歴代鬼太郎のビデオなども。親子連れのハイティーン息子が60年代鬼太郎のビデオをみて、全然違う、と驚いてましたよ。私はむしろコレですよ。
鬼太郎の最初のアニメや実写版悪魔くんも好きだったけど、実質的な水木作品の原体験と思えるのは、少年マガジン連載時の単行本、KCコミックス「ゲゲゲの鬼太郎」第2巻。吸血鬼エリートが入っているやつ。
1968年に最新巻として入手したけど、これを繰り返し読んで実に強く印象に残ってます。しかも、すでに「妖怪もの」に収まらない「水木節」独特の味わいを面白がっていたのだ。
今回のゲゲゲ展では、吸血鬼エリートの原画も見ることができて、をを、これが始まりだったんだね、と感慨深く拝見したことでございます。
最後に「ゲゲゲの女房」のセット(調布の家最初のしげるの書斎。机と窓、本棚)や小道具(サイン会で書いた色紙や、質草が請け出せるためのお守りなど)の展示アリ。
グッズ関連では、さすがに最終日で品切れも多く、欲しかったTシャツは手に入らず。代わりにこのTシャツ買いました。あとでレシートみたら、のんきTシャツ、とありました。
書籍もたくさん売ってましたが、現在、家の本をいかに処分するかに悩まされているため、怖くて近寄れず。見たら絶対欲しくなる(笑)。
ところで、今日知ったのだけど、このゲゲゲ展、いま大阪で開催中とのこと。阪神百貨店で31日(火)まで。興味のある方は是非どうぞ。