転校生ライフ

子どものころ、何かと引っ越すことが多く、必然的に私は「転校生」を何度も体験しました。

たとえば、通った小学校は、4つ。

小学生の頃は、特に九州では、なにかと「転校生のくせに」と言われたものです。「転校生のくせにナマイキだぞ」とか。ジャイアンか。

幼稚園と中学校でも、1回ずつ転校してます。中学になったら、さすがに友好的に受け入れられ、幼稚園の時も似たような感じだけど、基本、やはり転校生というのはなにかと目立つし、いじめられがちという認識です。

なんて話を、昔、職場でした事があって。転校生はいじめられるのよと。そしたら、「それって、みんちゃんが、イヤな奴だっただけなんじゃないの?」との突っ込みが入り。

うーん、それまで考えたことなかった。けど、確かにその可能性もあるよなあ、と感じ入り。まあ真相はともかく(笑)。

でも。少なくとも当時、子どもながらに、転校生として新しいコミュニティに接する際には、積極的に参加してゆくべし、という自覚がありました。今では考えられないですが(笑)。そのぐらいの覚悟は、自然に身についていたんだなあ。今の自分を思えば、もはや別人だ。


あと、転校を繰り返すと、処変わればじゃありませんが、世の中の事が微妙に違ってたりするのに気が付きます。日常的な感覚とかも。あそこじゃこうだったけど、こっちじゃああだ、みたいな。

世間一般レベルでは、もちろん引越しの威力によるものとなります。特に小学1年の時に、東京から九州へ引っ越した時のインパクトは絶大。

まず言葉が分からないし。あまりのショックに、当時放映されていたウルトラセブンも、九州では九州弁になっているに違いないとソッコーで思いました。この悩みは1週間で解決しましたが、当初、マジで絶望したです。

食べ物にも驚いた。ラーメンを頼んだら、へんなものが出てくるし。いや普通の熊本ラーメンですけどね。まず味噌やしょうゆの味が違うし、油揚げの形態も全然違う。

もちろん学校レベルでもいろいろ違いがあります。給食の内容とか。体操着の事とか。教科書が変われば、「習ったこと」の中身が違ったり。特に国語や音楽など。

私は「山賊のうた」を習ったことがありません。大人になったらみんな知っててショック。算数や理科は場所や教科書が違ってもあまり関係ありませんが。でも、どの教科も、「進み具合」は重要な問題でした。

ちなみに、給食。一番美味しいと思うのは、東京都大田区のものでした(小・中学とも)。見た目はくたびれた感じでしたが。ここは牛乳が紙パックで、飲んだ後の畳み方も学びました。


元々、東京から九州に行ったため、東京へ戻った時は、「帰ってきた」という感覚でしたが、自分で気づかないうちに、言葉はまったく東京のモノとは変わっていたようです。

転校の挨拶での、「昔は東京に住んでいたので、東京弁もしゃべれます」という発言は、クラスを大爆笑の渦に巻き込みました。後日聞いたら、「東京弁」という言葉の珍妙さと、しゃべりが、かなり妙なイントネーションだったそうです。

自分ではしゃべれてるつもりだったんだよなあ。でも、転校してきたばかりでびっくりしたのは、九州よりも、全然言葉が汚かったこと(笑)。大田区立羽田小学校。しかも、クラスには有志による「けんかクラブ」がありましたよ。

地域が変われば、カルチャーも違うものですが、ただそこに住むだけであれば、社会人が寝るだけに帰る様なケースなど、それ程の差異に直面せずに過ごすことも可能です。

が、転校というイベントは、強制的に学校と云う地域コミュニティーへの参加を意味する装置であるめ、ビビッドにその地域の特徴(ならびに校風?)へ直面する事を余儀なくするものです。その点は大人とは違うかもしれません。

同じ東京内でも、大田区と杉並区では大違い。でも今の時代は、もっと均質化されているような気もしますね。実際はどうなんだろ。