いろいろの格差

政策云々より前に、そもそも土台がおかしいと思う件

さて、週末には参院選がありました。ウチは大抵期日前投票をするので、日曜はのんびりと過ごしてました。

で、民主が負けたとか自民が勝ったとか、いろいろ言ってますが、メディアもそんな政局話ばっかりでどうでも良いよ、ってな感じ。そんな事より、いつ誰がこの「政治を支えるふざけたシステム」に手を付けてくれるの?ってところが気になってしようがないよ。

システム自体がおかしくなってるのに、目先の政策云々言ったってはじまらんだろう、ぐらいな感じですよ。土台が崩れてるんだから。それぐらい病んでいる。

ふざけたシステムと私が言っているのは、たとえば特別会計の存在や、中央と地方の二重行政、内閣が勝手に憲法判断する慣例であるとか。

まあ自民党と官僚が何十年もかけてこんな風にしちゃった訳で。社会党だって随分加担してそうだ。でも、もはや誰が悪いとか犯人探しや責任論はどうでもいい。誰が政権取るにしても、構造的にこのままだと明らかにマズイところに来ただろ、というような話。

中でも大きな問題点がコレ。

 参院選選挙区の落選者で最も多く得票したのは神奈川の千葉景子法相で、69万6739票だった。これに対し、高知の広田一氏は当選者の中で最少の13万 7306票で勝利を収めた。「1票の重み」の格差は5.07倍となり、2007年の前回選挙の4.16倍よりも拡大した。定数是正の動きや司法判断に影響を与える可能性がありそうだ。(時事通信)

日本は不思議な国で、本来、全有権者がそれぞれ1票持っているべきところを、衆院選なら2票まで、参院選なら5票までなら、多めに持ってるヤツが居てもセーフとか、最高裁が言っちゃう国なんですよ。

法制的にいろいろあるらしいけど、民主主義の基本を考えたらダメに決まってるので、しょせんお為ごかしとしか言いようがない。

ところで、以前、政治家のみなさんは当選のための「もっとも合理的な手段を選ぶのだ」という件に触れました(2010-05-11 合理的な選択)が、裁判所が一票の格差をかくの如く認めるのであれば、これは堂々と票格差の大きい地域の人気を取るのが上策、という事になりますね。

この場合、神奈川県の人が1票の投票権を持っているところに、高知県の人は5票の投票権を持っているのと同じ意味になります。当選を目指すなら、そりゃあ、政策として高知の人が喜ぶ主張を掲げる方が合理的というものです。

年代別な格差もある

ところで、この一票に対する政治家の政策優先度には、地方差以外にも別の局面があります。それは世代別格差。

選挙の後には、世代別投票率という統計が出ます。

当たり前ですが、ここで投票率の高い世代のウケを取ることが、政治家のみなさんにとっては合理的な選択となります。でも、あんまり世代別投票率ってメディアに出てないなあ?

どっかにないかなー?と思ったらありました。前回参院選までの投票率の推移((財)明るい選挙推進協会のサイト)。

高年齢層の投票率が圧倒的に高いことが、はっきり分かり分かります。さらにこのサイトには、第21回参議院議員通常選挙における年齢別投票率の情報もありました。こちらは投票数が直接確認できます。それを分かりやすくグラフにするとこうなる。

こちらは、世代別の有権者数も分かるため、よりインパクトがありますよ。高齢層は投票率が高いだけでなく、そもそも絶対数が多い。その結果どうなるか。
仮に40代以下と50代以上の投票数の比率を比べると、おおむね1:1.7となります。30代以下と40代以上で区切ると、おおむね1:3.5となります。

そうなると、当然高齢者のウケを取る政策を掲げる方が合理的な選択という事になります。30代以下の若者の3.5倍の票田なのだから。

まことしやかなウソ...

政治家なんて誰でも一緒、どこに投票しても大して変わらない。もしくは、支持出来る政党なんてどこにもないから、抗議行為として棄権する。

そんなわかったような議論もありますが、もし若い人が投票数の世代間格差を縮めて、影響力を持ちたいのであれば、まずは投票という行為を実行するのが有効でしょう。なんならば、投票する候補は誰でもいい。

仮に投票的に死に票になっても、世代別投票者数を上げる事が出来る。投票者数が増えれば、有権者として一定の勢力であることを示すことができます。

若年齢層の投票者数が驚異的な高率を得るようになれば、政治家のみなさんも若者に喜ばれるような政策を出すようになりますよ。それが彼らにとって合理的な選択だからです。

したがって、上記のような議論は、世代間少者である若年層にとって、まことしやかなウソだという事になりますね。だまされてはいけません。

てか、こんな事は選挙前に言え、って感じですか(笑)。