連帯保証人

法制審議会が、保証人を保護する観点から民法改正の検討を始めた、とのニュースが。

6月2日2時32分配信 毎日新聞
 生活破綻(はたん)や自殺の要因になるとの指摘を受けている連帯保証人制度について、法相の諮問機関である法制審議会は、保証人を保護する観点から民法改正の検討に着手した。保証人への事前説明や、債務者の資金繰りなどの情報提供を金融機関に義務付ける制度を導入する是非について議論を進める。

 連帯保証は、不動産などの担保を持ち合わせない中小企業経営者らが融資を受ける際、自身の信用を補うために第三者が連帯して債務を保証する制度。通常の保証制度と異なり、連帯保証人が債務者と同様の返済義務を負う。債務者が行方不明になった際には、貸手は債務者を捜す必要もなく、連帯保証人に返済を請求できる。金融機関などの融資の大半は連帯保証人制度が使われている。

 一方で、契約する際に必ずしも連帯保証人への説明が十分でなく、知らない間に多額の返済を迫られるケースも多い。連帯保証契約を結んだ直後に債務者に計画倒産されるような詐欺まがいの被害に遭う連帯保証人もいるとされる。

 こうしたことから法務省は、民法の債権関係条文の見直しを進めている法制審民法(債権関係)部会で「保証人が多額の保証債務の履行を求められ生活破綻に追い込まれる事例が後を絶たず、一層の保証人保護の拡充を求める意見がある」と指摘。保証契約を結ぶ際に、保証人に十分理解できるように説明することを義務付ける「説明義務」や、債務者の資金繰り情報を保証人に提供することを金融機関に義務付ける制度の導入を民法改正の論点に盛り込んだ。

 民法で説明義務の規定が創設されれば、契約時に事前説明が不十分だった場合などは、保証人側が損害賠償請求や契約無効の確認を求める訴訟が起こしやすくなる。

 ただ、連帯保証人制度そのものは「制度がなければ融資が受けにくくなる」との中小企業の指摘も根強く、欧米でも同様の制度を採用しているとして、存続を前提としている。

 民主党は昨年公表した政策集で「自殺の大きな要因となっている連帯保証人制度について、廃止も含め在り方を検討する」と言及。政府の自殺総合対策会議も今年2月に決定した自殺対策緊急プランで、連帯保証制度の在り方の検討を盛り込んだ。このため法制審でも民法改正の議論が必要と判断した。

 保証制度を巡っては05年4月の民法改正で、企業が金融機関から融資を受ける際、その企業の経営者らが金額や期間の制限なしで保証人を務める「包括根保証」制度が廃止されたが、この際も中小企業経営者らの破産や自殺が相次いだことが改正に結びついた。【石川淳一

私の持つ、ドラマとかでの保証人のイメージは、何らかの理由で債務者からの支払いが出来なくなった場合に、無条件で肩代わりを求められる、という物でしたが、これは「連帯保証人」というシクミの場合の話である事が判明しました。

通常の「保証人」には、催告の抗弁権と検索の抗弁権、つまり保証人より先にまず債務者に請求しろ、請求者が逃げたら探し出して請求しろ、と債権者に訴える権利があるんだそうです。知らなかったー。

確かに「保証人」に比べて「連帯保証人」はリスクが大き過ぎ。でも、こういう制度がないと経済的な弱者が融資を受けにくくなる、という指摘は分かります。もっとも、それって借り手にリスクを押し付ける「強者の論理」に慣らされ過ぎとも見える。なるほどね、と思いちょっと調べてみたら様子が変。

上の記事では、

 ただ、連帯保証人制度そのものは「制度がなければ融資が受けにくくなる」との中小企業の指摘も根強く、欧米でも同様の制度を採用しているとして、存続を前提としている。

となっているところが、wikiさんに聞いてみると、

連帯保証制度は、欧米では保証人の権利が保障されていないことを理由に認められていない。このため、人権問題として度々取り上げられている。

えーと、欧米での取り扱われ方について、まったく逆の説明がされていますよ。というか人権問題扱い(笑)。

新自由主義なみなさんの努力の結果か、労働者の取り扱いなんかみても、日本は強者に有利なシクミがかなり当たり前に受け入れられているけど、欧米、特にヨーロッパって違うよね、って印象があるので、どうもwikiさんの説明の方が実情に近い感覚があります。日本の中小企業のみなさんが妙な誘導に乗せられてる、とかだったらイヤだな。でもホントはどっちなんだろ。