アイディアの借用1

よく世の中では「Aという曲はBという曲のパクリだ」などということが言われたりします。実際に他人が作った音楽を聴いてインパイアされるということは、自分で音楽を作る人にとってはよくあることだと思いますがどうでしょう。

作る立場としては、そのとき自分が面白いと思ったエッセンスを、どれだけ形を変えて自分のモノに出来るかということが腕の見せ所でもあると思います。実際にリスナーが聴いたときに一見両者に関連があるように思われないモノが作れれば(それなりのスキルがある人には、そのカラクリは案外見えるものです)、それはもはやクリエイティブな行為と呼べるのではないかと。

このような借用の姿を仮にAとすれば、そのまんま使ってしまうというケースもありますね。これはタイプが大まかに2つあるかと。単純にアイディアの不足を補うためにいただいてしまうタイプと、あえてそのエッセンスをそのまま使うことで、何らかの主張をするタイプ。仮に前者をB、後者をCとしておきます。

Bは、時間がなかったのか煮詰まったのか、動機はいろいろあるでしょうが、やはりあまり誉められたモノではありませんね。Cにはオマージュやパロディみたいなもの。ひところ問題になったサンプリングの使用なども大まかにはこのタイプかと。

個人的には冒頭で挙げたような「パクる」という言葉は、Bのケースのみに用いるのが本来の姿ではなかったかと思うのですが、最近では言葉が独り歩きしている感があります。このトピックは興味深く思うようなことがたくさんあるので、またそれぞれ取り上げたいと思うのですが、今日は最近気がついたネタをひとつ。

あすか オリジナル・サウンドトラック私はNHKの朝のドラマをみるのが結構好きなんです(最近の作品はちょっと追いきれてませんが)。で、歴代のテーマ曲の中で、もっとも好きなのが、竹内結子が主演した「あすか」のテーマです。時々街中やTVのBGMなどで今でも耳にしますが、そのたびにホントにいい曲だなあとしみじみ思うのです。

私の頭の中の消しゴム [DVD]ところがしばらく前から、明らかにこの曲を意識していると思われる音楽を耳にする機会があります。これはさすがに誰が聴いてもわかるだろう、ぐらいのレベルで。最近、やっとその曲の正体がわかりました。韓国の映画「私の頭の中の消しゴム」の音楽なのでした。「あすか」のテーマ音楽を知ってる人はぜひ聴いてみてください。

実は以前にも同じように感じた曲がありました。いまも曲名は不明なままですが、そのケースではこれほどはっきりと判るような作りにはなってませんでした。ああ、他にも「あすか」の曲を愛してる人がいたんだなあ、と思ったものでしたが...