エスカレータ・その後

先日、日本エスカレータ協会(正しくは「財団法人 日本エレベータ協会」でした)はエスカレータで歩いちゃダメっていうけど、海外でもそう言ってる?とギモンを呈したわけですが、そのあとすぐ調べてみました。

そうすると、The Elevator Escalator Safety FoundationNというモノがあることがわかりました。エレベータやエスカレータの安全性を啓蒙する活動を国際的に展開する財団、というような団体のようです。

さてそのサイトにはどのようなことが書かれているのでしょうか。俺様イングリッシュで訳出してみました。正しい内容を確認したい人は上記のリンクから原文にアクセスすることをお勧めいたします。「エスカレータ安全Tips」というセクションにはこうあります。

エスカレータに乗るとき

    • 動いているステップをよく見るべし。
    • 足を踏み出すときは特に注意する。遠近両用めがね使用時には注意すべし。
    • 子供や小荷物は片手でしっかり持つべし。
    • 動いているステップに乗ったら、すぐに片手でしっかりとベルトをつかむべし。
    • 緩めの衣装は、ステップや側壁に近づけるべからず。

エスカレータに乗っているとき

    • 右側に、前を向いて立つべし。
    • ベルトをしっかりと持つべし。
    • もしベルトが先に進んだり遅れたりしたら、ゆっくりと持ち位置を修正するべし。
    • ハンドバッグや荷物をベルトに乗せるべからず。
    • 乗っている間はウィンドウショッピングすべからず。
    • 側壁に寄りかかるべからず。

エスカレータを降りるとき

    • しりごみするべからず。
    • すばやく降りるべし。
    • すぐに降り口から離れる。話し込んだりまわりをみまわしたりして立ち止まるべからず。他の乗客が続いているかもしれず。

さらにその下には「ルール」というセクションが。

  • 気を付けて乗り降りすべし。
  • ベビーカー等は禁止。
  • ベルトを持つべし。
  • 小さな子供には注意を払うべし。
  • ベルトの下の側壁には触るべからず。
  • 前を向いて立つべし。

もうひとつ、「エスカレータのルールとその根拠」というページがあります。

エスカレータに乗れるのは乗客だけです。ベビーカーや手押し車の類を乗せることはできません。

    • カートや手押し車を押しているときはエレベータを使ってください。ベルトを持つことができずに、バランスを崩して転ぶ原因になり得ます。さらに乗り降りの時に視界をふさがれて動作が遅れ、あなたや後に続く乗客がすばやく安全に降り口から離れることを遅らせることになりかねません。

乗り降りには注意して。遠近両用メガネ使用時には特に注意が必要です。

    • エレベータが快適なスピードで動いていたとしても、急いでいるときや荷物を持っているとき、遠近両用メガネ着用時には、エスカレータに乗る判断が難しいかもしれません。普通のペースで歩きながら、ステップの中央にすばやくしっかりと足を乗せるように気をつけて。多くのエレベータでは乗る人にステップの境目をわかりやすくするために緑の光を出すようになっています。同じような理由で黄色いマークがついている物も多くあります。ステップの中央を見失っても、あせらずに。足の位置を直せば良いだけです。

常に前を向いて立ち、ベルトを持ってください。

    • 前を向いて乗っていれば、バランスをとりやすいし、エレベータの終わに気がついてすばやく安全に降り口から離れることができます。エレベータに乗ったり動く歩道で立ち止まる場合はすぐにベルトを持ち、歩くスピードをベルトと調整してください。ベルトがステップや歩道の手前から始まっているのは、乗客が歩きながら足を乗せたときに衝撃を受けたりしないためです。またそうしてベルトの正しい位置を持つことになります。

小さな子供には注意を払い付き添ってください。お年寄りがまごついていたら手助けしてください。

    • 小さな子供やお年よりはエスカレータでは特に注意が必要です。乗客は子供の乗り降りを助け側壁から離れて立たせましょう。ベルトに届かない子供は手をつないであげましょう。小さな子供たちだけでエレベータや動く歩道に乗らせないように。

ベルトを持っても、ステップ近くの側壁に近づかない

    • 転倒は階段でももっともよくある事故です。エレベータで転倒を防ぐ最も良い方法は、ベルトをしっかりと持つことです。ステップとベルトはほぼ同じスピードで進んでいます。乗客は固定された側壁に触れないようにしなければなりません。

降り口付近から急いで離れる

    • エスカレータも乗客も動き続けているので出口付近から急いで離れることが重要です。乗客は降りる前からどこへ向かうか決めておくべきです。出口付近でまごつくと、後から来る乗客の道をふさぐことになるので、そのようなことにならないように。

動く歩道では、立ち止まる人は右側に寄り、歩く人は左側を通りましょう。

    • 歩く歩道は歩きたい人立ち止まる人を同じように運ぶように設計されています。右側に立った乗客は左側を歩く人のために空けておきましょう。

ベルトを持つ、側壁に触らない、すばやく乗り降りするなど、その他のエスカレータに関するアドヴァイスは、動く歩道でも同じです。

これらの内容が、A Safe Rideという動画になっていますが、エスカレータの仕組みの説明や、上記の内容がわかりやすく説明されていて、これがなかなか面白い出来になっていておすすめです。


さて、ここまで読んでみると、決して「エスカレータで歩いてはいけない」とは言っていないことに気づくと思います。動く歩道のように、歩いて良い、とも書いてませんが*1、他にいくつも禁止事項があるにもかかわらず言及されていないんですよ。

そうは言いつつも、やはり歩いてはいけないのかもしれないと思わせる点が2つあります。

その1。俺様イングリッシュなりに訳して気がついたのですが、そもそもrideという言葉には、自ら動かずに運んでもらう状態、というニュアンスがあるようにも感じます。ゆえに暗黙の了承として、当然歩くという行為はあり得ない、ということもあるのかもしれません。

その2。上記以外のトピックとしては、「エスカレータの伝説と不安」というコーナーがあります。興味のある人は読んでみると面白いかもしれませんが、そこにはこんな記述があります。

伝説:もしエスカレータがとまったら、ただの階段だ
真実:全然ちがう!エスカレータのステップは通常の歩行に対して正しい高さではないから同じつもりで使うべきではない。*2

階段と同じと思ってもらっちゃ困る、と主張してますね。でも歩くなら注意してね、と言っているようにもみえる。


まあ、そのような歩行否定説の材料があるけれど、くりかえしますが、それでもなお歩くことを直接禁じていないことが私には気になります。ホントにいけない事なら「前を向いて立て」なんて超基本的な事を言う前に一言「歩くな」と言えば済むことだと思えてならないんですけど。

ちなみにこのサイト(とその関連サイト)以外では、ニュージーランド・リフトエスカレータ協会のサイトを発見しましたが、そこでも基本的に同じような内容で、やはり「歩くな」とは書かれていません。「座るな」があるのに。もしエスカレータで歩いてはいけない事が、書くまでもない当然のことであるために言及されていないとすれば、座ってはいけないということは一応注意を促さなければならない程度の非常識ということなのでしょうか?!

ホントはどうなのかなー?

ところで、私はエスカレータでも動く歩道でも、基本的に歩くものだと思っていたという事を先日書きましたが、同時に、全員歩かねばならない、などと思っているわけでもないことも同じように言及しました。確かに基本的なスタンスはあるけれど、実際にはみんな融通利かせて使えば良いんじゃないかぐらいに思ってます。

なので、是非についてやあるべき論にはあまり興味はありません。ただ、どこに違いがあるのか考えてみるのは面白いことだったと。それよりやはり関連団体の主張の違い(?)のほうが気になるなあ。

*1:動画では、動く歩道の左側歩行に関しては「これはルールです!」とかなり強調してま

*2:このあとに、The risk of tripping and falling is increased.と続くのだけど、trippingって?軽やかな足取りの危険?