ビートルズの受難

1960年代にはヒップでファビュラスだったビートルズも、解散以降はもう時代遅れだとバカにされていた事がありました。特に槍玉に挙がったのは、サー・ポールさんですね。ノンポリだの商業主義だのと、もう散々でした。

Ram私がビートルズを聴き始めた1974年っていうのは、バンド自体も「ほんのちょっと前まで現役」で、各メンバーのソロもポップスベスト10を賑わしてるし、てな感じで、世間的には結構勢い盛んでした。ちょうど"Band on the Run"が出た頃でしたので、ポールの不遇時代も直接は知りません。ただ、"Ram"や"Wild Life"などは評判悪かったですね。
当時東芝EMIから出ていたパンフレットでさえ、あまり良い書き方されていなかったと思いますが、売る気ないのか(笑)。

個人的な体験としては、もう少し後、1970年代後半が受難の時期だったような気がします。渋谷陽一の「ロックミュージック進化論」なんて本があったように、当時はどんどん新しい音楽が出てきた時代で、それはこれからも続くと思われていました。そんな中、10年前のビートルズなんて、ジャーナリズムもさることながら、むしろ友達とか、バンド仲間等から散々な言われようでしたね。ビートルズも良かったけど、もう古いよね」なんてのはかなり好意的な方で。高校の頃など、いかにビートルズがスゴイか、「今」の音楽に影響を与えているかなんて事をよく訴えていましたものです(遠い目)。

ビートルズナツメロとしてでなく、音楽的にまだイケると世間(と言うより「ジャーナリズム」とか「ミュージシャン」か?)が思い始めたのは1980年代も半ば過ぎてからの事ではなかったかしら?!思うにこれはジョン・レノンが死んだことがきっかけになっているのではないかと。ひとつにはそれがきっかけでビートルズの音楽が改めて聴かれるようになったこと、あとはフォロワーが中期ジョン的なセンスの音楽をやり始めた事があるような。まあそんな印象を当時持っていました。そんなこんなで、80年代も終わり近くなって、やっと「警戒」せずに「ビートルズが一番好きです」と言うことが出来るようになった気がします。

The Beatles 1967-1970The Beatles 1962-1966これまたまったくの私見ですが、「赤盤」「青盤」が無かったら、私たちの世代を始め、その後の世代にもこれほどビートルズが広まるといった状況は無かったように思います。特にファンではないけどビートルズの曲は知っている、という人たちの数といったら!昔のことを書きながら、中学の頃、どんなに多くの人達がこの2組のベスト盤を媒体にしてビートルズに触れる機会を持ったかをまざまざと思い出しました。

それにしても、"Ram"を好きだという人達が今やこんなにたくさんいるなんて、世の中少しは良くなって来たと思いたいですね(笑)。