昔は名曲喫茶やジャズ喫茶など、主に音を聴くために行くお店というのがたくさんありましたが、最近はどうなんだろ?
70年代、高校生の頃、よく渋谷百軒店のBYG(http://www.byg.co.jp/)に通ってました。ここは「亜米利加音楽の家」というキャッチフレーズのついた、大音量でロックのレコードを流す飲み屋もしくは喫茶店です。正式には「ビッグ」と読むのですが、私たちはみなあえて「ビーワイジー」と呼んでました。
当時"Beautiful Young Generation"だった人たちもすでに5〜60代になってしまった訳ですが、お店はまだ健在です。当時は周辺には他にもロック系のブラックホーク、ジャズのスウィング、クラシックのライオン、などの店があり、それぞれに足を運んでおりましたが、やはりBYGに行くことが一番多かった。今残っているのはBYGとライオンだけですね。
店は1階、中2階、2階、と3フロアーあって、それぞれ趣が違います。一番音がデカくて靴が脱げる2階に陣取ることが多かった。中2階は一番静かで、お話したい時などはここで。1階はその中間か。地下にはスタジオがあって*1、安かったし生ピアノもあったので、よくバンドで使ってました。ライブなんかも何回かやりましたね。
さて、そのBYGですが、「亜米利加音楽の家」というだけあって、流れる音楽はアメリカンロック一色*2。ビートルズやツェッペリンが聴きたくても不可。イヤでも(笑)ドゥービーズやイーグルズ、バンド、CSN&Y、オールマンズ、シカゴ、スタッフ、みたいな音楽ばかり。店を入って正面にレジ兼DJブースがあって、ここでマスターにリクエストするわけです。
当時はLPの時代で、しかもそれなりにアルバムとしてのトータル性が問われていた時代だったので、リクエストは大体アルバム片面単位でした。別の階で飲んでいても、そこまで行って「オールマンのフィルモアイーストC面お願いします」なんて言うわけです。リクエストがたて混んでるなどよほどの事がない限り、ちゃんと片面丸々かけてくれます。他にリクエストがない時など、続けて別の面までかけてくれることもありましたねー*3。
そんな音楽を大音量で浴びながら、2階でウィスキーの水割り*4をいただきつつ、友人たちと談笑するの高校時代(もう20年以上昔のことなのでカンベンしてください。笑)。時には隣のテーブルの同年代グループと音楽談義に花が咲いたり。ブルーズの長いソロになると目を閉じて首を振りながら心身ともに浸る、などというイヤな技(笑)はこの頃に身に付いたものです。まあ70年代ですから(笑)。
実は今でも、飲んでる時に音楽を聴くのが、最高に気持ちいい聴き方なんですよね。ジャンルにかかわらず、ホントに浸りきってしまうらしいです。ひょっとしたら、これはBYG時代に習慣化してしまったのかもしれないなあ。
ところでここ数年、吉祥寺に酔舎(http://www.246.ne.jp/~bayou/suisha.htm)という、ナイスなロック飲みのできる店を発見し、機会があれば足を運んでおります。
ひそかに吉祥寺のBYGと呼んでいる、6-70年代の音楽好きにとっては血中アルコール濃度が3倍ぐらいになりそうな効果を伴うキケンな店です(笑)。この店は日本のモノもかかるのがポイント高いです。リクエストすれば、はっぴいえんどはおろか、はちみつぱいや夕焼け楽団、じゃがたらなんてのもかかります。リクエストしなくても渋い曲がバンバンかかる。以前マスターに一番好きなのは何かと尋ねたところ、ニール・ヤング、とのお答えでした。
杉並区住民としては、渋谷よりも電車の時間を気にしなくて良いというロケーションということもあり、深夜(たしか午前2時閉店)までのご乱行に及ぶということもまああります。行くと、もう止まらない(笑)。
*1:その場所で、その昔は風都市のみなさんがライブをやっていたと聞いてびっくりしたのは、もう80年代も後半になってからでした。今では内装がきれいになって、ライブハウスになってますね。実はBYGはムーンライダーズのアルバムタイトルにもなっているし、ライダーズCD-ROMのソフトで、店内の様子を360度アングルで見ることができるようにもなっています。私がムーンライダーズに心酔するのはもう少し後の話ですが、10代のころにニアミスしてたんだろうなあ。
*2:しかし、ジョンレノンが亡くなった年の大晦日終夜営業の際に「ジョンの魂」が、確か、丸々一枚通しでかかりまいた。泣いたー。最近では普通にイギリスのモノもかかるようです。
*3:これも最近ではCDで一曲単位のリクエストになっている模様。でも最近行っても平気で「フィルモアイーストのC面」などとリクエストしてます。運がいいとちゃんとかかるのだ(笑)。
*4:この頃は、酒を飲む、といったら全国的にウィスキーの水割り、という傾向がありましたね。あれはなぜだろう?今ではめったに飲む機会がありませんが。ロックで飲むということはあります。