日赤のありがたさ

先日ネット上で見かけたちょっとしたトピック。清水国明さんのブログ内容から日本赤十字社がちょっとした炎上?状態になったというお話。どんなもんだろうかと、さっそく読んでみました。


今すぐ一人でも多くの人を救いたいという願っての皆さんのその義援金が、今救いを求めている人たちのところには、今は届かないということを、私は知りました。

先日、救援物資を被災地に運んで行った時、沢山の水や食べ物が山積みになっていました。

けれど、避難所の子どもたちに聞くと、すぐには食べさせてもらえない、とのこと。

なんで?

公平公正が絶対ルールの行政主導で分配するので、全員に配れる数が揃うまでおあずけなのだそうです。

義援金はプールされ、募集期間を終えてから、行政関係者などが組織する分配委員会で討議されて公平公正に使われるのだそうです。


要は「みんな今すぐ手を差し伸べたいと思い日赤に義捐金を送ったはずなのに、分配内容を決めるまで使われずにプールされているってどういうこと?」という様な内容が何回かのトピックで書かれてます。

この内容には大きな反響があったらしく、日赤に問い合わせや抗議?の電話が殺到したとの事。それを受けて、書かれた内容について清水さんと日赤広報担当者が話し合いを持つ、という具合に事態は流れて行きます。興味のある方は、ぜひこのブログを読んでみて下さい。

義捐金の流れですが、正確には、日赤の要請で被災地の都道府県主体で義捐金配布委員会を立ち上げ、この配布委員会が日赤等に寄せられた義捐金の配分を行う、という仕組みだそうです。

まず委員会を立ち上げ、そこで被災ケースなどを検討し、公平に義捐金を分配するという流れ。それを経て、やっと被災者に義捐金が届く。

具体的には、どの程度時間がかかるのか。


阪神・淡路大震災では比較的早期に配分委員会が設立され、地震発生から約半月後の2月1日に第一次の支給が行われたそうだ。だが一度に全てはカバーできず、当時被災した人からは「半年から1年後にやっと支給された」という事例も聞く。


被災者に届くまでのリードタイムが、「比較的早く動き出して」、約半月。極端な例として、半年から1年後。もはや義捐金の意味、あるだろうか?私の感想としては、なんとまあお役所ライクなやり方だろうと。

確かに、分配の公平性の担保とは、決して見過ごす事の出来ないポイントというのは分かるのだ。きっと、いろんな要素を検討し、齟齬のないように進めなければならないのだろう。そこのところをキッチリやるのが、お役人のウデの見せ所でもある。

それはそれとして、拙速と言われようとも、早いことに価値があるという部分もある。被災者は今まさに救援を求めているのだ。

多少手順に問題なり不都合な点があっても、まずは喫緊の対策として、物資や一時金を直接被災者に届けるというような、クイック&ダーティーな判断があっても良いのではないかねえ。

それにしても。今回は被災範囲が大きすぎ、その「公平な分配機能」を担当する自治体も大混乱な訳で、なかなか委員会が立ち上がらないらしい。そんな有様では、ますますリードタイムが大きくなるよ。「比較的早く動き出して」半年。このままだといつまで待たされるのか。

と思っていたら、こんなニュースが。

日赤義援金の配分基準、国が策定へ 片山総務相が言及

なんだか、轟々たる非難の嵐があるのについ笑ってしまったけれど、これは、地方自治体の義捐金公平分配機能がマヒして、話が先に進められずに現地の被災者にしわ寄せが行っちゃうから、なんなら国がその機能を代行しましょうか、って話だよね。

まさに、国がやらずに誰がやる、って状況だから、これは妥当な判断だと思うな。惜しむらくは、判断遅すぎ。その分被災者が待たされるんだよ。


それにしても「日赤システム」では、いかにも時間がかかりすぎる。もっとも役所その他公共機関に、クイック&ダーティーなやり方はとても認められないのかもだけど。

しかし、先ほど引用した記事の中に、別の選択肢もあることを発見。役所その他公共機関が出来ないやり方も、これなら可能か。


こうした状況の中、中央共同募金会ではすでに活動を行っているボランティア団体やNPOなどを支援するための『災害ボランティア・NPO活動支援のための募金』を設立した。これは義援金配分委員会を通さず、支援活動を行う団体などに配分されることになる。現地で活動を行うためには、支援物資の調達や現地への輸送手段確保、燃料、通信費だけでもかなりの活動資金が必要となる。こうした活動を支えることが、義援金配分よりも早く被災者の"現在の"生活を支えることにつながるのだ。

(中略)

さらにいち早く支援を届けたい場合には、現在活動を行っているボランティア団体・NPOなどに直接募金を行うことが望ましい。ただし、義援金詐欺などのニュースも報じられる中、信頼できる団体に寄付をするためには、Webなどを通じて広報される活動状況を確認したり、直接電話をして寄付の使途を聞いてみるなど、寄付をする側にも多少の努力が必要であることは認識しておきたい。


なるほど。大きな金額の、公的といっていい義捐金の分配は日赤で、取り急ぎの救援援助はNPOなどの小回りの効く団体で、という使い分けが出来そう。


ところで、なんだか日赤の文句を書いているみたいに思われるかも知れませんが、個人的な気持ちとしては、敬意をもって日赤の立場に見合った活動を応援しています。義捐金も日赤に送ったし。

なにより、10歳の頃、自宅が火事で焼け出された事があり、その際日赤にお世話になって、大変ありがたく思ったという経験があります(当時、鹿児島県出水市在住)。

記憶では、火事があったその日のうちに、毛布や下着などの救援品が届きました。子供心に不思議だったのだけど、あれってどういう経緯で情報が流れて、日赤の支援へと至ったのだろうか?

今回のような大災害では、公平を期すためにすぐには動けないのだろうけど、一家庭が火事で焼け出された時の対応の早さには、子供でもびっくりでしたよ。

その時の援助品、中でも毛布は、その後何十年も使ってたなあ。タグに赤十字のマークが入っているのだ。硬くでゴワゴワした感じの毛布だったけど、その毛布を見るたび日赤のありがたさを思ったものです。いやホント。