震災からこちら、多くのスポンサーによるCM自粛に起因する、ACのCM大量放送という事態が発生しております。
個人的には、金子みすゞの詩を使った「こだまでしょうか」とか好きなんですけど、他にも趣深いCMがあって、面白いなーと思って観てる訳だけど、とりわけ世間的にセンセーショナル?に取り上げられているのが「あいさつの魔法」。
どうにも「ぽぽぽぽーん」が人々の魂を鷲づかみするらしく、いろんな意味で話題になっております。そんな流れで、この曲の譜面を起こした方が現れました。力作ですねー。
で、この譜面を見て、私はぶっ飛びましたよ。どこに?それは意外にも、一番最後の、しょっちゅう耳にしていたはずの、♪エイシーというジングルというかサウンドロゴの部分にでした。この部分。
改めて譜面で見てみると、ここ、D-Gのドミナントモーションだったんだ!びっくり。
いや、Dがドミナント7thコードではないので、正確にはドミナントモーションではないのか。それにしても。
一般的に、西洋の音楽は、属音(ドミナント)から主音(トニック)への音の移動時に感じる「緊張感から安定感への感覚」を利用して音楽を前に進めます。これがドミナントモーション。
具体的には、V7(ドミナント5度)を構成する3度音と7度音による「増4度」という音程がもたらす緊張感が、I(1度)へ進行して解決するというものです。
ここでのACのサウンドロゴは、コードにすると、D69(D,F#,A,B,E) - Aadd9(G,B,D,A) って感じになるので、ドミナントは上記の「増4度(ここではC-F#)」を含まず、従って正確にはドミナントモーションにならないのかもだけど、5度から1度にきっちり強進行解決していることは間違いない。
で、私はなんでびっくりしたかというと、これ、♪エイシーって部分、実は同じひとつの和音の中でメロディーが動いていると思っていたから。トニックのみ。
メロディーとしては、ミ-ソ(移動ドな私)なので、そう思っても不思議じゃない。同じコードの中とは言っても装飾的にテンションが動いてるかな、ぐらいな感じ。
まあ、TVのスピーカーでは低音部まで聞こえなかったから、と言えばそうだし、これだけで音を聞き取れなかった私の耳が悪い、と言われれば、それもそうなんだけど。
しかし、いままで何度この音を聞いてきたことか。こんなに「ぽぽぽぽーん」が話題になって譜面化してくれる人が現れなければ、ずっと気づかないままだったに違いない。うーん。
ところで、あまりに何度も繰り返してACのCMが流れるので♪エイシーがウルサイと苦情があったらしく、音抜きバージョンが流れるようになったけど、世の中には気にしーな人が多いんだねと、こちらも少々びっくりでした。