東電の計画停電あれこれ

震災から11日が経過。なんにしても、被災者の多さに言葉も出ません。普通にあった日常が突然奪われる不条理は如何ともし難いけれど、なんとも胸が痛むことです。人間明日はどうなるか分からない。

例によって、そのとき思ったことを、とりとめなくダラダラと書き残して置こうと思ったのだけれど、この11日間、日々情報は錯綜し、リビアでは戦争まで始まる始末。おまけに帯状疱疹は痛む。あれこれ考えてとりとめなくなりすぎ、それさえも手が出なくなってしまったので、諦めることにしました。

その中で、東京電力が打ち出した計画停電について思った事だけ、備忘録がてらに書いておこうかと思います。

計画停電の背景

11日午後に発生した震災を受けて、13日、東京電力は翌日からの計画停電実施を決定した旨アナウンスを出しました。

3月11日に発生いたしました三陸沖を震源とする東北地方太平洋沖地震により、福島第一および第二原子力発電所をはじめ発電所および流通設備など当社設備が大きな影響を受けていることから、当社供給区域における電力需給が極めて厳しい状況になっております。

 これまで当社は、他の電力会社からの応援融通受電などにより、電力の安定供給確保に全力で取り組んでまいりました。また国からは、国民の皆さまや経済団体に向けて節電の要請をしていただいているところです。

 しかしながら、今後予想されます電気の使用量に対し、供給力が大変厳しい状況にあることを踏まえ、予見性ないまま大規模な停電に陥らないよう、明日以降は、計画的に停電をお願いさせていただきます。これまで停電回避に向け、全力で取り組んでまいりましたが、このような事態を招いてしまったことを、お客さまをはじめ広く社会の皆さまに大変ご迷惑とご心配をおかけし、誠に申し訳なく思っておりますが、当社としては、安定供給に向け早急、最大限の対策を講じることで、一日も早い復旧に取り組んでまいります。

実施日前夜の唐突なニュースにもかかわらず、なるほど、話は分かった。こんな非常時だ、できるだけ協力するよ。と多くの対象者は思ったはずです。

しかし、その停電内容のため、すでに実施前から大混乱が起こりました。私の見たところ、主な原因は2つ。グループ分けの曖昧さと、医療施設や信号・鉄道等交通機関への影響。

ずさんな計画内容

グループ分けについては、関東地方を第1〜5グループに分けて、順次時間を分けて停電するというものだった。5グループというのは、少ないほうが分かりやすいと考えたのかもしれないけど、結果的には、以下のような理由で上記の混乱原因になったかと。

    • 行政区分と東電の管理区分が一致していないにもかかわらず、広域な対象エリアを、地名で説明しようとしたため、利用者からみて、自分がどこに区分されるかが曖昧な区分けとなった。
    • エリアが広域になるため、エリア内のどこかに鉄道などの交通機関が含まれ、関東圏の流通や移動に支障が生じることが明らかだった。

いくら東電がいままでろくな準備をしていなかったにしても、発表されたのはあまりにずさんなプランではなかったろうか。まあ、元々災害で全停電だと思えば、このぐらいは大したことないでしょう?的な甘えがなかったか?

としてみると、必要なのは、より詳細で柔軟性に富み、かつ誰が見ても分かりやすい区分による対応、ということになろうかと思います。こんな事は、事前に東電がシミュレーションしておけば良かった事だけど。

電力利用IDをコード化する

で、こんな風にしてみては?と考えたこと。それは、電力利用者番号のコード化。

今でも電力会社と契約している世帯(どうやら、現状では世帯単位で無いといけないらしい)には、IDとして契約者番号が付与されていると思う。おそらく毎月の使用量お知らせに明記されているはず。が、これを利用者にとって、もっと意味のある番号に置き換える。

各利用者への電力送電は、最終的には地域の配電盤単位で電力会社管理している。例えば、これが電話であれば、同じ局番の番号は、その局番を管理するハブがあり、当然階層もあるだろうが、この単位で回線管理する。電気でも基本は同じと思う。

電話の場合は、局番で、自分の区分けが分かる。計画的に電話を止めるのであれば、○時から○時までの間、局番3333の電話番号は利用できません、というアナウンスがあった場合、今回のようなグループ分けをめぐる混乱はないだろう。なおかつ、局番単位?のきめ細かい地区対応が可能だ。

それを電気でもやれば良いということ。ただし、現状は電話の局番のような分かりやすい番号体系になっていないはずなので、新しいIDを振りなおし周知すれば良いのではないか。もちろんリファレンス用に現状のIDも保存しておくこと。

きめ細かい対応を可能に そしてその先...

このように分かりやすくしたID(電気局番?)を利用して、きめ細かく停電区分けをし、それを支えるシステムの見直しを行えば、電気が来ないと困る部分を外しつつ、必要な停電エリアを確保できるのではないか。

さらに言えば、今回特に大きな不満の声は上がらなかったようだけど、大雑把なグループ分けしか出来ないために計画停電対象外となった23区でも、一般家庭などでの停電が実施可能となり、より平等な計画停電が出来ると思う。

こんな事は、まあ落ち着けば、システム管理に携わる誰でも思いつくような話。単に、計画停電のような非常時想定を行っていなかっただけのレベルでしょう。これを機にちゃんとした対応体制を整えて欲しいものです。


しかし今回、いよいよ根本的に取り組む時が来たよ、と考えさせられたのは、東西の電力周波数差。

この問題がなければ、今回のような計画停電のような話にもならなかったのでは?電気は余っても取っておけないのだから、場を分ける事のメリットってないよねえ?

これを統一するには、ものすごい社会的コストがかかることは誰もが承知で、だからいままでも変えることが出来なかったけど、狭い日本の中、東西で電力のやり取りもできないなんて、そのコストもバカには出来ないかと。

(2011-03-23の追記)電力周波数の統一にまで言及したら、やはり次はスマートグリッド化を考えるべきかと。日本では電力供給体制が安定しているという理由で、官民共に消極的らしいけど、今回のように大規模な停電が起こると、現在の送電網の弱さが露呈してるし、そもそも、計画停電なんてしなくても電力需要調整出来たかも。