ビートルズの曲の終わり方

ちょっと別のことを考えているうちに、洋楽のなかで最も聴きこんでいるだろうビートルズの全曲で、最後の小節に向けて曲がどのように終わっているか、という点を調べようと思い立ちました。

そこで、以下のようにタイプを分けて、実際に曲数をカウントしてみましたよ。

in tempo
それまでと同じテンポでそのまま終わるもの
b4's rit.
in tempoのようにみえて、よく聴いてみると、どうも最後の1泊だけが若干遅めに入るものがある。これをビートルズのritと命名
f.o.
フェイドアウトして終わるもの
fermata
フェルマータが入るもの
slight rit.
長さ、減速いずれかが軽いリタルダンドで終わるもの
rit.
いわゆるリタルダンドで終わるもの
accel.
テンポが加速して終わるもの
rubato
自由なテンポになるもの

するとこんな結果になりました。対象トラックは2009リマスターのステレオミックス全曲から、アルバムYellow SubmarineのYellow Submarine、All You Need Is Love、B面全曲を除いたもの。全217トラック。

ただ、タイプ分けについては、けっこう微妙な部分もあったので、この結果が絶対正しいという訳でもないです。大体の目安って感じで、ひとつ。

タイプ曲数
in tempo 110
b4's rit. 8
F.O. 80
fermata 3
slight rit. 8
rit. 6
accel. 0
rubato 2

全般的な傾向として、最後の小節は基本的にフェルマータになっています。その中で音が動く場合もある(Ask Me WhyやI Willなど)けれど、それは終止内という扱いにして、今回のタイプ分けでは不問にしてます。

で、同じテンポで終わるものとフェイドアウトのものは「普通」なので、それ以外の曲についてタイプごとに書き出して見ます。

b4's rit.

  • A Taste of Honey
  • It Won't Be Long
  • And I Love Her
  • Norwegian Wood (This Bird Has Flown)
  • Nowhere Man
  • Wild Honey Pie
  • Blackbird
  • Something

ここは、基本in tempoなんだけど、終止小節の頭の拍だけが少しだけタイミングが遅い、という判定をしたもの。

以下のタイプでもそうだけど、元々持ってたイメージと違う結果が出て、自分自身がびっくり(笑)。in tempoだと思っていたけど、よく聴くとちょっと違うとか、rit.だと思ってたけど、そんなことないか、って感じなんだけど、やはりrit.かどうか悩ましい曲もある。

曲のリズムとは別に、ギターなどが小節頭にシンコペーションで「ジャラン」とコードのアルペジオで入ってくると、rit.っぽく聞こえるという現象にも気づきました。

fermata

  • You Can't Do That
  • A Day In The Life
  • Piggies

You Can't Do Thatは、最後の3っつの音符に全部フェルマータ、A Day's In The Lifeは、ピアノ前、オケの最後のTuttiフェルマータPiggiesは微妙で、テンポチェンジしたなかでのrit.かも?と思いつつ、最後から2つめの和音にフェルマータ、と判定しました。

slight rit.

  • Anna (Go to Him)
  • Money
  • Tell Me What You See
  • Here, There and Everywhere
  • She's Leaving Home
  • Martha My Dear
  • Good Night
  • Here Comes The Sun

ここでの「軽い」というのは、

    1. リタルダンド開始から終止までの拍数が少ない
    2. テンポの減速幅が小さい

に該当すると判定したリタルダンド。いかがでしょうか。先のRingo's rit.との区分けが微妙なものもあります。

rit.

  • Hold Me Tight
  • Yesterday
  • Wait
  • For No One
  • Let It Be
  • Let It Be

上の「軽い」に該当しないと判定したリタルダンド。Let It Beが2つとも入って来ちゃったので、実質5曲ですね。


さて、テンポが加速して終わるもの、アッチェレランドで終わる曲というのは、1曲もカウントされませんでしたが、実はLove You Toがそうでした。ただ、こちらはフェイドアウトの方にタイプ分けしてしまったので、カウントされてません。一応そういう曲もあったということで。

All Together Nowもコーダでテンポが加速して行きますが、曲が終わる直前ではテンポが一定になっているので、こちらもin tempoとしてカウント。

rubato

  • Long, Long, Long
  • Revolution 9

本来の tempo rubatoとはちと違う気もしますが、終止前にテンポがフリーになっていると判定したもの。Revolution 9ではテンポという概念が無いように見えますが、ひょっとしたらin tempoなのかも知れないです。


いちおうこんな結果になりました、という感じでみていただければと思いますが、そもそもの目的は、リタルダンドの曲ってそんなにないだろう、という仮説の確認でありました。

その点では、明らかに全体の中での比率は低いということがわかったので良かったと思うです。もっとも、ライブだとまた話は別だろう、という話もあるので、これは別途検討してみたいところですね。