ヒーロー

ヒーローという存在がある。日本人と生まれたからには、人生のどこか(おおむねコドモ時代)でヒーローに夢中になった時期があるのではないか。

現代の日本人は、物心ついた頃から月光仮面や、ウルトラマンウルトラセブン、その他数え切れないほどのヒーロー達を持っていた。なので、その存在や世界観が「あたりまえ価」しているように思う。

が、実際、他の国ではどうなんだろ?米国にはスーパーマンバットマン等が居るのは知っているけど、では他の国では?この手のヒーローの存在って、そんなに普遍的な存在ではないのではないか。

逆に、実在を信じるかどうかは別にして、環境としてそのようなコンセプトにどっぷり浸かって育つ日本人と言うのは、独自の世界観を刷り込まれて育った、ひょっとしたら世界の中ではちょっと変わった集団なのかもしれないなあ。

なんてことをぼんやり思い。


ヒーローというのは、大抵強い。必殺技なんかもあったりするし。でも、ドラゴンボールみたいに、強敵と戦い続けるうちにインフレのように強さが増してゆくと、もはや強さの絶対度ってカンケーなくなってくる事が分かる。

この手の世界では、結局、相対的に相手より強い、という事が重要って事なんだね。相手に勝ってこそのヒーロー。


ところで、いまとってもお気に入りのヒーロー物があるんですけど。それがこれ、ワンパンマン。ウェブで公開されてるマンガですよ。


主人公は「趣味でヒーローをやっている」男、サイタマ。しかし強い。強すぎていつも「ワンパンチ」で決着がついてしまう。その圧倒的な強さで世の中の平和を守っているのだけど、ある日「知名度が低い」という事に気づき悩む。そしてそれは「ヒーロー名簿」に登録していないためだと判明する。

この世界では「ヒーロー協会」に認定された「プロ・ヒーロー」のみがヒーローを名乗ることを許される。認定にはランクがあり、上からS級・A級・B級・C級とあるが、筆記の結果が悪く、サイタマはC級ヒーローに認定される。

C級ヒーローは数も多く水準も低いため、一週間以上ヒーロー活動をしないと名簿から除名されてしまうため、サイタマも「飛び込み営業のように足を動かして成果を出すために奔走する」ことを余儀なくされるのだが...


ヒーロー協会の認定というシステムも、ジャンプのヒーロー物のパロディみたいでおかしいけど、ここで面白いのは、ホントに圧倒的に強いのに、その強さにあまり周りが気づかないという設定。それぐらいランクがもたらす先入観に皆が縛られているという滑稽さ。

先に、相手に勝ってこそのヒーロー、なんて書いたけど、そう単純な話(笑)でもないんだなーというのが大人っぽくていいよ。


しかし、勝てばいいんだろ、という点ではもっとスゴイヒーローを知っているよ。それは、実力はないがツイてツイてツキまくり、ラッキーだけで相手を倒してしまう、ラッキーマン

とっても! ラッキーマン 1 (集英社文庫―コミック版)

とっても! ラッキーマン 1 (集英社文庫―コミック版)

あまりにもくだらなくて、とっても大好きなんだけど、めっちゃ弱いくせに周りのものがすべてラッキーに作用して絶対負けないんだから、相手が悟空だろうが魔人ブウだろうが関係ないのだ。ある意味、最強のヒーローこそ、このラッキーマンであろう(水木調)。