忘れられない一日

昨日、アップルのサイトで以下のメッセージが表示され、ネット上では「いよいよアップルがビートルズの配信開始か?!」というウワサが世界的に流れた。

アナウンス開始時間を表したと思われる時計の映像が、アルバム「Help!」の手旗信号をなぞっている、という説まで出て、「なるほど、コレはいよいよビートルズか?」との憶測が乱れ飛んだ。

正直、いまさらアップルがビートルズの取り扱いを始めても、私にはまったく関係ない話だと思った。そもそも、昨年のリマスター盤発売騒ぎがあったため、全曲ボックスで買い直したばかりだというファンは世界中に居るだろう。

私だって、リマスターだけで「ステレオ」「モノボックス」「モノボックス(英国盤)」「USB」と4個も持っているのだ。この上、音の悪いmp3やAACなんかで欲しいわけがない。そもそもiTSで音楽買わないし。

そして、問題の0:00。明らかになったのは、やはりアップルによるビートルズ配信。ツイッターでうかがい知れる限りでは、特にファンでない人は「それだけ?」と落胆したようだ。ビートルズだけでなく、アップルの新しいサービスのリリース等を期待してたんだろう。


しかし、ファンは、いや少なくとも私はコーフンした。それはビートルズのオンライン販売と同時に公開された、初期のライブビデオのためだ。

「ワシントンDCライブ」と俗に呼ばれるソレは、ビートルズ初のアメリカ公演を収録したもので、アメリカ全土の映画館でビートルズの映像を公開するために作成されたフィルムだ。70年代(80年代は知らない)のビートルズのフィルムコンサートでは定番の出し物。おそらく、ビートルズ最高のライブ映像のひとつだろう。

PAや録音はお粗末だけど、やる気満々の若いビートルズの、ついにアメリカで成功した興奮と情熱を隠し切れない熱い演奏がパッケージされている名ライブ。「映像はきれいだけど演奏はクズ」な日本公演の映像とは対照的(笑)。


まあ、今までも観ようと思えば観られたのに、今回の公開になぜそんなにコーフンしているか。理由は以下の2点にある。

1. 画質の格段の向上
元の映像は「60年代のモノだからしょうがない」と思わざるを得ないような画質。それが1995年のビートルズアンソロジーの時に、このライブ映像が数曲流れ、今までの画質が冗談だったとしか思えないようなクリアな画質となっていた。その後ブートなどで一部画質の良いものが出回っていたが、さすがに今回の映像は最高。「あるとこにはある」のか、「良くぞここまで画質修正した」のか。
2. 完全コンプリート収録
いままで出回っていたのは、70年代に私が観ていたモノも、米国などでDVD販売されていたモノも、最後の「Twist And Shout」の途中で突然映像が終了してしまうというモノだった。また、アンソロジーではなぜか使用されなかったが、95年のPVで、「どうみてもワシントンDCでしょ」な映像の「Long Tall Sally」が公開されて、そんなのあったんだ?!と一部ファンの度肝を抜いた。今回は今まで失われていた「Twist And Shout」の後半と、その後に「Long Tall Sally」が演奏されるという本来の姿が、おそらく初めて再現されている*1


思えば、初めてこの映像を見てから数十年、いつか埋もれていたオリジナルフィルムが発見されて、キレイな映像で、途中終了しない完全版を観る事が出来ればなあ、と望んでいたのだ。

ついにその日が来たのだ。十分「忘れられない一日」になったよ。


上記の「Long Tall Sally」の一件で、アンソロジー時点でもアップル(コープス)はまだ出し惜しみしてる事が明らかになったと思ったけれど、ワシントンDCライブは、画質・音質を磨いて、今後アップルがここぞとばかりに出してくる隠しだまコンテンツなんだろうと感じていた。

で、そんな実にマーベラスな映像が、現在iTSにて公開されているわけですが、これ販売されないの?買うよ、私は。と思ったら、ボックスセットの特典映像になっている事が判明!

えええ、そりゃないよアップルさん(アップル・コープスならびにアップル・コンピュータ?)。もう4つもボックス持ってるんだよ。しかも、もっと音のいいやつを。

うーん、この映像のためだけに、23,000円出せるか。半額なら即決だが。いや、ここの部分はいざとなったらふんぎれる。

よしんば23,000円出したとして、iTunesにダウンロードした画像って、データとして取り出せるのか?TVで観れないとイヤなの。というか、再生ソフトが制約される電子コンテンツってキライなの。おしえてエライひと。

*1:1964年の全米映画館上映の時はどうだったのかな?