ミッション:著作権&使用料の支払いを回避せよ

もう10年ほど前の事。業務分割して別会社になってしまったばかりのAA社の総務部長Yさんから、合併先で新規にPBXを入れることになったので電話の保留音を作成して欲しいとの依頼が来たのでした。

通常こういう時は、PBXに付属の保留音をそのまま使うか、著作権フリーのBGM集のような物を入手して使うものらしいのです。

ところがYさんは元業界筋の音屋さんで、そんなチャライものは使えん!と、妙なコダワリを見せたのでありました(笑)。

それで、

  1. やっぱりクラシックを使うのがよかろう。
  2. しかし、アリモノCDを使うと演奏の印税や使用料の問題が残る。その辺を解決せずして、天下のAA社(Yさん談)が、しらばっくれて使うわけにもいかず、しかし使用料を払う予算は無い
  3. ところが、著作権が切れている曲を自分達で演奏・録音しちゃえば費用は発生せず。
  4. ついてはみんちゃん、曲はラヴェルソナチネに決めたから、ピアノを弾いて音源作ってくれ

とまあ、こんな具合で話が決まってしまったのです。
ラヴェル:夜のガスパール
そんな訳で、私は銀座のヤマハラヴェルの楽譜を買って来たわけですが、参考音源のアルゲリッチさまの演奏はかなりロマン派的自由なフレーバー満載であったため、再現が難しいことこの上なし。そんな曲を素のままピアノで弾けるわけもなく。

そこでマック+パフォーマーを駆使して、右手と左手を別々に、しかも3分の1ぐらいのテンポで弾いて、さらにその後MIDIデータでこまかーい所まで表情やテンポのエディットをしまくって、なんとかでっち上げたのでした。かくして著作権&使用料フリーのナイスなラヴェルピアノ曲音源の一丁上がり。

電話という音質の悪さもあるけれど、実は結構良い感じに仕上がってます。音を磨いてくれたYさんの部下、T氏にも感謝。

って言うか、今までAA社の電話を使ったほとんどの人が、ソレがコンピュータミュージック(死語)などとは思いもしなかったはず。けっこう手間暇かかってます。その後諸事情のためAA社は消滅してしまいましたが、合併先のA監査法人でまだ使われているんじゃないかな。

しかし。

後日、実はこの時点では、まだラヴェル著作権が有効であった事が判明(大笑)。どうもギリギリ1年ぐらい残ってたのだ。なんと詰めの甘い。さすがにもうとっくに切れてますけどね(笑)。