フォーク並びしようよ

フォーク並び。町田康の小説にこんなフレーズがあった。

 …いまから約三十分前、この混雑するフライドチキン店にぶらり入った瞬間、やっぱりこれはやるべきでしょう、と思ったんだな。なにを。つまり、あれ、そう、フォーク並び。
 自分は、日頃から、フォーク並びを考えた人は、天才だと思っているのだけれども、例えば、公衆電話。ボックスは三つ。いずれも使用中である。この局面において、待っている人たちが、それぞれ独自の判断で、三つのボックスの前に三列に並んだ場合と、まず一列に並び、順次、空いたボックスに入る、いわゆるフォーク並びの場合と、各人の平均待ち時間はどちらが短いだろうか?やほほ。当然、フォーク並びである。だから自分はフォーク並びが、もう好きで好きで仕方なく、ことあるごとにフォーク並びを推奨しているのだけれども、ところが、このフライドチキン店の客ときたら、ただ漫然とカウンターの前にもごもご蝟集するばかりで、いっこうにフォーク並びをせんのだ。

町田康 作「河原のアバラ」

正直言えば、誰もなにも言わずとも、自然にフォーク並びになるのが望ましいと思うのだけど、たぶんその日は遠いんだろうなあ。

この、フォーク並び、って名称は町田康の造語のように思うのだけど、まず誰もが認識できる名前がつかないと始まらないのだろう。

(私はフォーク並びでも良いけれど、たぶん世間的な合意を得るのが難しい気がする 笑)


コンビニなどお店によっては、明示的にフォーク並びしてねと訴えている場合もあって、そんな時はお客さんも自然にフォーク並びになるけれど、それでもレジ前に個別列で並ぼうとする人が時々いるのだ。

それはたぶん、ズルとかじゃなくて、元々フォーク並び的コンセプトが世の中に存在している事に気付いていないんだろうなあ。どんだけ知られていないのか、フォーク並び。

とにかく、地道にこのシステムを採用するお店が増えてゆけば、気付いていない人もそのうち気付くだろうけど、とにかくまず名前だ。名前がなくてはコンセプトの存在も知られず、人の口にもあがらず、口コミでの拡散が望めないではないか。


とりあえず、現時点で望み得る具体的な対応として、あらゆる「複数レジ」を持つお店に、フォーク並びシステムの明示と実行をお願いしたいですよ。

ついでに言えば、飲食店など、席取り前にレジを済ませるとか、その逆とかも、お店の判断でどっちでもいいから明示してほしい。実際にそうしている店もあるし、世の中的にはまだどうすべきかという合意が出来ていないと思うので、客の個別判断では混乱する。

この手の客あしらいって、お店のホスピタリティがそのまま出てると思うので、そこがぞんざいなお店は、今後あまり使おうと思わないんだよなあ。

(もう、ご近所のマックの客あしらいが悪くて、どうしたものかと。しかしサイクンの希望で時々買いに行くのだ。そりゃまあ、並ぶのは私なんだが)

てな訳で、レジの行列ぐらいちゃちゃっと取り仕切ってくださいよ、と各種お店の責任者にお願いしてみるの巻。

よろしくよろしく。